『<お茶>はなぜ女のものになったか 茶道から見る戦後の家族』

“お茶”はなぜ女のものになったか―茶道から見る戦後の家族
…そう問いかけられてみれば、確かに不思議に思えてくる。
へうげもの』を読むまでもなく、「お茶(茶道、茶の湯)」はもともと禅宗の僧が日本に紹介し、畿内の商人たちが趣味の域に持ち込み、その一人であった千利休が集大成し、戦国武将から江戸時代の大名を経て武士たちへと広まり、町人文化のひとつに組み込まれ、明治や大正には政財界の数寄者たちにより盛んに道具が収集され…いわば日本では始まりから数百年間一貫して「男の文化」だったはず。
それが現在では、茶道人口の9割以上(本書によれば)は女性となっている。私が通っている茶道教室でも、先生以下周りは女の人だらけ。一体何故?
著者の加藤恵津子氏(言語学的なアプローチで文化人類学の研究をしている方)によると、この男女逆転は第二次大戦を境にして起きているという。そしてその変化を追うことにより、戦後(とくに高度経済成長期に)確立された男女のジェンダー区分の一端を読み解くことができる、というのが本書の大まかな論点。
リサーチのために東京近郊の5つもの茶道教室に通ったという筆者。採録されたその生徒たちのインタビューも含め、なかなかに興味深い内容だったのだが、何がどう面白かったのかに触れる前に、そもそも私自身が何故お茶に興味を持ち教室に通うようになったのかを、改めて整理しておいたほうがいいかもしれない(…皆さん別に興味がないかもしれませんが)。