私が「茶」に興味を持った理由

毎日欠かさずやっていることだからか、私は「食うこと」について非常に興味があって、いろいろと食に関する本を集めている。以前も「食に関する本」を集中的に読んだことがあったが*1、そのときに読んだのはほんの一部で、この類の本だけで本棚の一段が埋まっているほど。
そんな私の中で、食に関してずっと気にかかっていた記述があった。
あいまいな記憶だが、最初に目にしたのは確か『美味しんぼ』の中で、海原雄山が「日本の料理の根本は茶の湯に始まる」とかそういうことを言っていたのだ。後に雄山のモデルでもある北大路魯山人の本を読んだとき、(もちろん魯山人の発言があって雄山の発言があるのだが)やはり同じように「日本料理は茶の懐石に始まる」と書いてあったのだが、お茶と言えば抹茶とお菓子を食べるだけのものだと思っていた私は、それを見ても茶と懐石がうまくつながらなかった。懐石料理というのは禅宗の料理のことではなかったか…とか、そんな感じで。
これが私が「茶の湯」に引っかかりをもったきっかけ。つまり先に日本料理に興味があって、その根本に茶の湯があるという意味を調べてみたら、茶事やら懐石料理に行き着いたというわけだ。
日本料理は食べに行くのも大好きなのだが、ちょっとした料亭などに行くと床の間には花が生けてあって軸が掛けられている。料理はきらびやかな器に盛られて出てくる。こういうのは「きれいだな」で済ませることもできるのだが、それではきっと料理の楽しみも半分しか味わっていないのではないか…と思い始め、どうせならそういう部分についても一通りの見方を覚えておきたいと思った。それに、礼儀作法の初歩くらい身につけておけば、格式ばった場に出ても気後れせずに雰囲気や料理を楽しめる、という考えもあった。
そういうわけで、じゃあ和食の源流と言われるお茶を習ってみよう、と決心したのだ。