「硫黄島からの手紙」

今日から公開。
お昼の回を見終わってロビーに出ると、そこで「ぴあ」のアンケート調査をやっていた。「ぴあ」に載っている採点コーナーは知っているが、実際に調査をやっているのは初めて見た。4,5人の女性が、ロビーに出てきた観客に声を掛けて「100点満点で何点でしたか?」とかやっている。
私も声を掛けられたが、割と感傷に浸っているところだったので、協力を断った。
下りのエレベーターを待つ間、アンケートに答えている人たちをそれとなく観察していたけど、若い女性ばっかりが答えていて、戦争を経験していたような年代の老人たちはアンケートを断ったり話しかけられなかったりで、随分偏った調査なのだということがよくわかった。


もちろんカラー映画なのだが、かなり色褪せた映像。まるでモノクロ映画のようだった。
バロン西こと西竹一が硫黄島にいたというのを初めて知った。バロン西にしても司令官の栗林中将にしても、太平洋戦争が始まる前にヨーロッパやアメリカで生活していたことがあり、多くの知己を持っていたという*1。その2人だけが戦争の行く末を見通していた…というストーリーは、史実とのかかわりはともかくとして、悲しいものがあった。
相互理解のないところに戦争が起こる。


最後の決戦を前に、日本軍の将校が「いつの日か子孫たちが諸君らの勲功を称える日が来るだろう」とか、「靖国で会おう」とか言っているのを聞くにつけ、きっと本当にそういう言葉があったのだろうな…と思い、やりきれない気持ちになった。


太平洋戦争では、大和魂を100%出し切って死ぬことが求められたわけだが、この映画に先立って見た「武士の一分」では、もののふの魂を内に秘して、いざというときにその一分(1%)を見せることができるか否か…ということが主題だった。
どちらがあらまほしき「武士道」*2か…というのは、いわずもがなだと思うのだが。

*1:栗林中将がアメリカを去るときに、記念品の拳銃を手渡していた米軍将校、どこかで見たことのある顔だと思ったら、「デスパレートな妻たち」のメアリー=アリスの夫ポール役の人だった。一瞬ブッシュJr.の偽者にも見える顔。

*2:私自身はそもそも武士道とか大和魂という言葉自体、何を指す言葉なのかよくわからないので、あまり使いたくないのだが。