「スキャナー・ダークリー」

フィリップ・K・ディック原作、キアヌ・リーヴス主演、ロバート・ダウニー・Jr.、ウィノナ・ライダー共演。猛烈に「そっち系」感の漂う原作&キャスト。
その上監督は「恋人までの距離」や「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイター、そして全編フルCG…と聞けば、もういかがわしさ満載で、これは見るしかないとて見に行ってきました。
キャストがいるのにフルCGというのは、オフィシャルサイトを見ていただければおわかりのように、実写をCGでなぞっているということ。これ、多分背景の処理はほとんどクロマキーかなんかだったのではないだろうか? そうするとこれは、すごい贅沢な低予算映画なのかも。

「今から7年後のアメリカ」が舞台。そこでは「物質D」と呼ばれる新種のドラッグが蔓延しており、政府はその摘発のためにあらゆる場所に「ホロスキャナー」という遠隔監視装置を設置、犯罪者たちを監視していた。
主人公アークターはもともとは物質Dを追いかける捜査官だったが、自らD中毒者を装って潜入捜査を行い「ホロスキャナー」で自分を監視するうちに、いつしかDに脳を破壊されてしまう。
更生のために連れて行かれた施設で、アークターは見たものは…

パンフレットに書いてあった滝本誠氏の解説によると、この作品へのウィノナの起用には因縁がある。
というのも、ウィノナの父親マイケル・ホロヴィッツはドラッグカルチャーの実践的研究家で、「ウィノナ」という風変わりな名前の名付け親も、かの有名なティモシー・リアリーその人なのだそうな。
そうしたドラッグカルチャーの、言ってみれば「忘れ形見」だったウィノナが、ドラッグカルチャーへの鎮魂歌とも言えるこの作品に出演するのは、半ば必然だった…というわけだ。
ちょっと前の万引き騒動で、「ぷっつん女優」として有名になってしまったかつてのアイドル・ウィノナだが、ここに来てこの映画で復活の兆しが見られたかも。とにかく相変わらずのキューティー・ボイスながら、妙な色気のある女を絶妙に演じていた。
まあ、フルCGなのでどこまで本人の演技によるものかはよくわからないが(この「フィリップ・K・ディック的」な逆説!)。