『カワサキ・キッド』

カワサキ・キッド
少年隊のヒガシこと東山紀之の自伝。図書館で見かけて、ついつい借りてしまった本。
ヒガシというと、現在でも驚異の体脂肪率をキープし華麗なダンスを舞うスポーツ万能の人…という印象だったが、赤ん坊の頃に両足に大やけどを負って後遺症を長年かばった結果、足の軟骨が擦り減り、それをカバーするため筋トレを始めた…とか、かなりの「努力の人」なのだ。「日に千回腹筋、月に百キロ走る」という自分のルールを守り続けているそうだ…。
少年時代のあこがれの3大スターは、ブルース・リーマイケル・ジャクソン、そして王貞治だったそうだが、後年その王さんとあるパーティーで直にまみえる機会があった際、握手を交わすと「お、ちゃんと(筋トレ)やってるね」と手のひらのタコを指摘された…というエピソードを、本当に嬉しそうに紹介していた。


ジャニーズ事務所に入ることになったきっかけというのが非常に運命的で、たまたま友達と一緒にNHKホールに番組の収録を見に行った帰り道、渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしていたら、スッと目の前に大きな外車が停まり、窓から顔を出して「ユー、こんど事務所に来てみない?」と誘ったのが、誰あろうジャニー喜多川氏本人だったという。
しかし実際にダンスレッスンに参加してみると全くついていけず、逆にプライドに火がついて続けていくことになったという。ちなみに後に一緒に少年隊を組むニッキこと錦織一清は、すでに事務所でも一目を置かれる存在で、ダンスも抜群のセンスだったとか。


そうしてデビューから一躍人気を獲得し、デビュー曲「仮面舞踏会」を引っさげて紅白歌合戦に出演した時に起きたのが、「加山雄三仮面ライダー事件」だった。


…これはつまり、白組司会の加山雄三が、「仮面舞踏会」を「仮面ライダー」と紹介してしまったという話なのだが、出番後に楽屋でガックリ肩を落としていた3人に、ジャニー氏はこう言ってなぐさめたという。

「ユー、本当によかったね! これでユーたちはみんなに長くおぼえてもらえるよ。加山さんに感謝だよ!」