「キング・コング」

今日は髪を切りに行って、その後「キング・コング」を見てきた。
とにかくすごいCGだった。もうまったく自然で、違和感を持たない。というかCGの中で「自然」が表現されてしまっている。メタ。3時間半の長尺も、全然退屈しなかった。


ピーター・ジャクソン監督自身が、オリジナルの「キング・コング」を見て映画監督を志したというだけあって、随所にオマージュが散りばめられていたようだ。
私自身はフェイ・レイ主演のモノクロ版キング・コングというのは一度も見たことが無いのだが、1978年公開のリメイク版(ジェシカ・ラング主演)は何度も見た。子供心にもの凄く怖かったが、ちょっぴりエロいところも魅力だった*1。…ということで私の中でコングといえばジェシカ・ラングなのだが、ピーター少年にとってはフェイ・レイが強烈に焼きついているようだ。
そのせいか、作中でジャック・ブラック演じるプロデューサーが、主演女優を探しているときに「フェイ・レイは?」と助手に聞く場面があった*2し、エンドロールのラストに「この作品をオリジナルのスタッフ・キャストに、とりわけフェイ・レイに捧げます」みたいな献辞が流れた。


本作でヒロインを演じたナオミ・ワッツさんは、基本的にはエロい演技もできるのだが(「マルホランド・ドライブ」など)、この作品では完全にピーター・ジャクソン少年の偶像(アイコン)として演出されていたのだろうか、「性」の部分というよりは「かわいらしさ」「健気さ」の部分で老コングを惹きつけたようだった。娘や孫娘を見る眼差しのキングコング翁。


印象に残っているシーンは、ジャズのスタンダード「Bye Bye Blackbird」が流れる中で、ナオミ・ワッツが場末のキャバレーで踊る場面。スローモーションのダンス、ナオミ・ワッツの赤い唇、情感たっぷりのメロディー、そして意味深長な歌詞。

Where somebody waits for me, sugar's sweet, so is she,
Bye-bye Blackbird.
No one here can love and understand me.
Oh, what hard-luck stories they all hand me.
Make my bed and light the light
I'll arrive late tonight,
Blackbird, Bye-bye.

*1:今考えると野獣に捧げられる美女…というお題目自体が、すでに形而上的にエロいっス。

*2:助手は、「別の映画の撮影に入っている」と答えていましたが、あれもマニアックなネタだったんでしょうね。