ディック・フランシス死去

(15日の)明け方twitterのTLを見ていたらディック・フランシス死去の報が。あちこちのニュースでは「競馬の騎手だった」としか触れられていないけど、正確には英国で障害レースの騎手をしていたフランシス氏。この辺、一般読者には別に気にならないところなのかな? いや、別にいいんだけど。
氏の一連の競馬ミステリーについては、存在自体は相当前から知ってはいたけれど、読み始めたのは新潟に引っ越してきてから。たまたま今の職場に氏のファンの方がいて、薦められて読み始めたら、割と面白かった。これまでも日本の作家によるいわゆる競馬ミステリーなんてのも読んだことがあったけど*1、いかんせん競馬描写に違和感や無理やり感がありすぎて「単に毛色の変わった舞台設定が欲しかっただけか」という残念感を味わっていたので、ディック・フランシスの作品内ではごくごく自然に競馬の世界が描写されているのに嬉しい誤算を感じたりしたものだった。それも元騎手なら当然か。
これまで3冊しか読んだことがないけれど、氏の作品の中でおすすめを選ぶならば、最高傑作の呼び声が高い『興奮』よりも、ハンデキャップを負った元騎手の探偵が活躍する『大穴』のほうかな。

大穴 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-2))

大穴 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-2))

毎回主人公が替わる一連のフランシス作品の中にあって、同じ主人公が複数作登場するのは本作で初登場するシッド・ハレーのみらしい。それだけこのキャラクターに対するディック・フランシスの思い入れも深かったのだろう。

*1:西村京太郎御大の怪作『日本ダービー殺人事件』とか。詳細は2005年12月5日の日記参照。