『漢字ちょっといい話』

漢字ちょっといい話
「バクザン発言」の榊莫山先生による漢字にまつわるエッセイ集。
もう誰も気にも留めていないかもしれないが、私はいまだに莫山先生のことが忘れられず、図書館で著書を見つけては借りてきて読んでいる。
ちなみに100冊以上も上梓されている著書の中でも、莫山先生が漢字について改めて書いたのは本書が初めてということだ。


のっけから「莫山」という号の意味が書いてあり興味深かった。それによると「莫」という漢字は、上下を「草」に挟まれた「日」を表しており、「暮」という文字と同じで草原に沈み行く夕陽を意味するのだそうだ。つまり「莫山」とは「日暮れの山」という意味。ただし何故それを号にしたかについては、「とくに意味がない」みたいなことを書いておられた。
それから苗字の「榊」についても、これはいわゆる国字で中国にはない和製漢字なので、中国に行ったときに名刺を差し出すと「神の木…?」と怪訝そうな顔をされると漏らしていた。
さらに、莫山先生の本名は「榊齊」と書いて「さかき・はじむ」というのだそうだが、「齊」という字を最初から「はじむ」と読めた人は一人もいないと言っていた。それはそうだろうな。