『馬産地80話 日高から見た日本競馬』

馬産地80話―日高から見た日本競馬
競馬漬け第12弾。
著者の岩崎徹氏は札幌大学経済学部の教授で、長年にわたり馬産地としての北海道・日高地区のフィールドワークを積み重ね、日本の競馬を馬産地経済の観点から研究されている方。
この方には『競馬社会をみると、日本経済がみえてくる』という前著があって、こちらは研究論文さながらの膨大な図表・論考が収められた力作。発売当時(2002年)に本屋で見つけて読み始めた私も、途中かなり辛くなりながらようやく読み終えたのが、1年後のことだった。

競馬社会をみると、日本経済がみえてくる―国際化と馬産地の課題

競馬社会をみると、日本経済がみえてくる―国際化と馬産地の課題

『競馬社会を…』のほうが詳細な「参考書」あるいは「資料集」だとしたら、『馬産地80話』のほうはそれを噛み砕いた「教科書」的な内容。タイトルどおり80のトピックスにわけて日本の競馬を分析しており、細切れになった分随分と読みやすくなった。データも発行当時(2005年)の出来うる限り最新のものにアップデートされており、競馬を産業としてきちんと考え直してみたい方には強くおすすめ。


昨日のエントリに書いた米やワインの話ではないが、日本の馬産業も自由化の波にさらされて将来が危惧されている。
グローバルスタンダードにあわせて「調整」するのか、それともある程度の「保護」を行うのか。現在の日本の競馬は岐路に立っているのだと思う。


筆者は日本の競馬の特徴を「大衆競馬であること」だとし*1、それが生きるような国際化を進める必要があると提唱している。

*1:以前読んだ『日本競馬論序説』で赤木駿介氏が書いていたのと同じ。