地方の衰退

最近NHKが「地方の衰退」について盛んに取り上げている。昨夜の「地域発!どうする日本『どうする 広がる地域格差』」という番組に続いて、今夜も「日本の、これから『止められますか 地方の衰退』−第1部−」という番組をやっていた。
いろんなゲストを招いたり、さまざまな県に住む人たちをスタジオに呼んだり、また番組放送中にネットを介して全国の視聴者にアンケートをとったりして、「広がる地域格差はこのままでいいのか?」というテーマで、とくに結論が出るわけでもなく(番組内で結論が出るほど単純なテーマではないのだが)、あーだこーだと。


市場原理の結果として、都市への資本・人口の流入が止められない…というのは、致し方ない現実だと思う。それを止めると経済が停滞してしまう*1
だからと言って地方経済の衰退を「市場原理だから」と切り捨ててしまうのは、私は危ないと思っている。
というのは、そうやって切り捨てられた地方では、経済活動だけではなくて昔から綿々と続いてきたさまざまな文化活動も行われているわけで、そうした地方文化が経済に引きずられて一旦衰退してしまうと、取り返しのつかないことになるのではないかと危惧するからだ。
村でやっていたお祭りだとか、その地域独特の風習だとか、もっと言えば昔話を地域の方言で語ることができる老人たちとか、そんな「経済的に優先度の低い存在」が、実際にいまどんどん地方行政から切り捨てられつつある。そうやって地方文化がもう一切合財無くなってしまって、たとえば半世紀後に日本が裕福になったとして「じゃあもう一回復活させましょう」というふうにうまくいくのだろうか? 私はそうは思わない。一度失われた文化は、もう二度と元には戻らない。


それでは「ふるさと納税」でも補助金でも何でもいいが、国がお金をどんどん地方に回せばいいのかというと、それもおかしいと思う。
国からの補助金をアテにして十年一日の怠惰な行政を行っている自治体は、支援する必要は無いと思う。いつまでも親のスネをかじっている放蕩息子のようなもので、親(国)が金持ちなうちはそれでもよかったが、借金がかさんできた今でもそれを続けると、一家(日本)が傾いてしまうのは目に見えている。
本当に住民に有用な施策や、長期的に見て効果があると思われる再建策を自主的に組んで、国が「これならお金を出す意義がある」と判断した自治体にだけ、手厚く予算(補助金)をつけてあげればよいのではないだろうか? もっともその査定を誰がするのか(できるのか)という問題は残るが…。

*1:…と本当に言えるのかどうか、半分疑問。ネットがつながってれば、日本中どこででも仕事はできると思う気持ちも半分。まあしかし、ネットではなくリアルの世界でみんなでわいわい集まってやることにより、メンタルな意味でも物理的な意味でも活気が出るというのはあると思う。