「SAYURI」

男たちの大和」と同じ、太平洋戦争前後の日本を舞台にした映画だが、こうも違うのか(笑)。鹿児島の田舎の少年たちが大和で必死に戦っていた頃、京都では舞妓たちが「花町一」の水揚げ料を目指して角を突き合わせていたという、この対比…。「女たちの大和/SAYURI」という感じだろうか。


コン・リーミシェル・ヨーチャン・ツィイー…もうみんなすばらしく美しくて、この3人の芸者(舞妓)*1姿を鑑賞できただけで、この映画を見に行った価値はあったと思う。3人とも私の大好きな女優さんなので。あとケリー・チャンがいれば個人的には最強のキャストだったけど、あの顔で芸者というのはきついか。
前評判で聞いていたほど、ハリウッド製のセットや、英語をしゃべる芸者さんたちに違和感は感じなかった*2。どうせ作り話だし。芸者の学校なる珍妙な施設が出てきたり、そこで習う舞踊が盆踊り的だったり、賽銭を入れて鳴らした鐘が「ゴーン」と鳴ったり、さゆりのお披露目式での踊りが大衆演芸や現代舞踊のようだったり…というのは、割と許容範囲の中。
細かいアラを探すよりも、相撲のシーン(日本を舞台にした映画に頻出で、「またか…」と思う人もいただろうが)で舞の海が出てきたり、行司を木村庄之助さんがやったりしていたように、「本物に近づける」努力を買いたいと思う。「満員御禮」の張り紙が、子供が書いたような字だったのはご愛嬌。


ただ、お話として面白かったかというと、それは微妙。女性が主要登場人物であるにも関わらず、所詮は男にとっての夢物語という感じがした。または「恩返し」説話の亜流か。

*1:というかどう見ても銀座の高級ホステスという感じだったが…

*2:逆に「御茶屋=Tea House」とか、「龍村織り=Tatsumura スーク?」とか、英訳が面白かった。