ひねり

「冬ざれや 防犯カメラのサンタ服」

自分が泥棒なら、今夜の仕事(ヤマ)はサンタ服で働くな。どこにいても適当にごまかせそうだし。捕まっても「(プレゼントを)置いてくるところを誤って持ってきてしまった」とか言えば許してもらえそうだし。

あじさい

敵失を集めてむなし 額の花 あぢさゐや 言うだけ言ってみるもよし 仄聞を大仰に言い 七変化

それぞれのみらい 港の十五夜月

夜に何の予定もなかったので、ひとりで関内から馬車道、桜木町、みなとみらいあたりをふらりと。MM21のマリメッコで子供服を衝動買いしたり。いま横浜トリエンナーレをやっているのか。 蒸し暑い日だったのでジントニックが飲みたいと思い、その辺にあった小…

子の息吹き 屋根まで飛んだものは何

ご近所のお姉ちゃんと一緒に、公園でシャボン玉遊びに興じる愛息。 終戦直後のバラックでヤニを吸う少年みたいにも見える。 ちなみにシャボン玉は夏の季語。

「ひぐらしや 鳥が河童になりにけり」

解:イカを焼いて食べていたら、横から愛息がチョコチョコやってきて、ゲソをつまみ出した。普段から鳥のくちばしのように突き出ている愛息の唇が、横に広がって河童のくちばしのようになっていた。

「神鳴や 六十二年の遠きより」

原爆投下の日の夕立に思う。

「電線四本 春の嵐にゆゆと啼く」

解:風が強い日、ピュンピュン電線が鳴っていた。

「春雷をものともせずに あくびかな」

解:鳥取では今日の夜、ものすごい落雷と降雨だったのですが、もうオネムだった愛息はそれをまったく意に介さずあくびをしていましたとさ。

「妻病みて 年の瀬に焼く餃子かな」

ということで、本来なら今日金沢に行く予定が急遽変更。 会社で仕事納めをして、家に帰ってきたらすでに鳥取のつれあいの実家から義母がやってきており、夜にはお手製の餃子を焼いてもらった。義母には年の瀬の忙しいときに遠路申し訳ないことをしたが、やは…

「どろどろの汗 溶けてしまへこの躯(からだ)」

朝から某イベントの取材。 集合した場所からイベント会場まで、1キロくらい?を何故かみんなで走って移動。朝方に一雨きていたのがモワッと蒸発していて、非常に粘っこい空気の中をRun! Run! Run! どろどろに汗をかき、溶けてしまうかと思った。

「夕さりや 祭りの幕の蝉の殻」

解:夏祭りの夕暮れ、紅白の幕に蝉の抜け殻がくっついていた。抜け出した本体もすぐ隣に。

「サムライの臥したるサマータイムブルース」

解:試合終了のホイッスルが鳴り、芝の上に仰臥して動かなくなった選手たち。 「サムライブルー」や「なでしこジャパン」という表現。どこか“愛国教育”的な押し付けがましさを感じてしまって、個人的には気持ち悪いと思うのですが、記念に折込んでみました。

「入梅や 車線変更このあとで」

そぼ降る雨のなか、深夜に車を運転して帰宅するときに

「鐘数ふる 正の字数ほどの正しさを」

除夜の鐘をカウントする「正」の文字。ずらりと並んだそれを見て、「これだけ正しい人間なのか?」と問われているように感じたことよ。

「しあわせを急いで手繰る 秋の蕎麦」

解:秋の夕べ、あわてて手繰った新蕎麦の香り。

「うなだれて 笑みこぼるるや 水仙花(ナルシサス)」

解:ナルキッソスの挿話を借景。 自分の欠点(悪口じゃなくて)を指摘されるのが好きな人っているじゃないですか。構ってもらいたがりなだけかもしれないけど。 泉に映った自分の姿を見る水仙の姿は、「私ってこんなに容貌が悪かったかしらん」とうなだれて…

「手繰り食う蕎麦に汗垂る 盆祭り」

解:今日、某イベントを取材してたんですけど、無茶苦茶暑かったんですわ。そんでひーひー言いながら、屋台のもり蕎麦を食ってたら、額の汗が蕎麦つゆに落ちた。こんだけ暑けりゃきっと夕立になるわ。

「何故か海疎みし ワンス・アポン・ア・タイム」

解:いまじゃ行きたくても行けないのに、子供の頃はなんで海に行くのがめんどくさかったのだろうか? 泳ぎに行きたーい!

「日傘てふものをさしたる登校日」

解:朝出勤するときにいつもすれ違う女子高生がいて、彼女は夏になると黒い日傘をさしている。なんとなく背伸びをした感じがしてよいなあ、と。オッサンの目で見ている私。

「いざ鎌倉 弓手(ゆんで)に紫陽花 馬手(めて)に海」

江ノ電に乗って鎌倉方面に向かうと、左手(弓手)には民家の紫陽花、右手(馬手)には由比ガ浜が見えることよ。

「梅雨晴間 去年(こぞ)の鰻屋戸を閉めぬ」

解:鰻の季節を目前にして初めて、去年まで行っていた鰻屋が閉店したのに気付いたことよ。

「先刻のほたるは 宙にのぼりけり」

解: 夏の夕べ。やっと見つけた蛍が、次の瞬間に見当たらなくなっていた。空にはようやく星が瞬きだした。

「しうとより作法をまねぶ餃子かな」

で、その後、義父と義母と妻の4人で餃子を作ったのです。餃子の皮も自家製の本格的なやつ。モチモチしてて、皮を結ぶときに水を付けたりしなくていいんですよ。そんでそのやり方に独特のものがあって。義父に教わりながらおっかなびっくり。 意外とうまくで…

「岩牡蠣の利き手を探し殻を剥く」

入籍して初めての週末、仕事をうっちゃって妻の実家に来ております。 昨日あたりから漁解禁になったという岩牡蠣*1を、さっそく義母の知人が近所の海岸で採ってきたということで、夕食に出すために貝殻を割るのを手伝いました。 とんかちで殻の端っこを削っ…

「銀河にも薔薇座やありけむ 零時の苑」

解:夜のバラ園を歩くイメージ…なのですが、なんか夜の銀座のイメージになってしまった。(老婆心ながら、バラ座なんてありませんので)

「地震起き己が服をあらたむ」

解:いま地震が起きました。逃げるときの格好を考えちゃいました。

「ひつつめの鬢(びん)のほつれの 風ひかる」

解:仕事から帰宅途中に一句浮かんだんですけど。女子高生のひっつめ髪を見てて。 そんで思い出して書店で「NHK俳句」の6月号を購入。明日は朝からNHK俳句を見なくっちゃ。

「手に盛れるばかりの桜桃 種吐く贅沢」

解:上に書いたことをそのまま言っただけ。

「彼も吾も見し柿の木や ひそりをり」

解:そこにあったのは山頭火も見ていた柿の木であることよ。

「ボンソワール パリでも啼くか 雨蛙」

…ということで、早速一句ひねってみました。 解:夜中の蛙の声がフランス語に聞こえたことよ。でもそれって多分ウシガエル。。