「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」

子どもたちを連れて、ドラえもん映画を見てきた。

ドラえもんの首についている鈴が、「怪盗DX(デラックス)」を名乗る何者かに奪われてしまう。のび太ドラえもんたちは鈴を追いかけて、未来の世界にある「ひみつ道具博物館」へ。ここにも怪盗DXから「ひみつ道具を盗む」という予告状が届いた…。


この映画の予告編を見た時に思ったのは、「ひみつ道具がメインテーマだなんて、随分野心的だけど、大丈夫かな…」ということだった。ひみつ道具ドラえもんの大きな魅力のひとつであることは間違いないのだが、もともと1本の短編に1つの道具というのが基本であるドラえもんの特性上、いくつもの道具が一緒に出てくると矛盾や破綻が起きてしまうことがある。長編映画でそれが起こらないか心配だったのと、あとはどの道具をどう使うのか、その辺の選択にセンスが問われると思ったからだ。
しかし実際に映画を見てみてどうだったかというと、これが割と素直に楽しめたのだった。
個人的には道具のセレクションについて細かく言いたいことはあるのだが、しかしとにかく次から次へと道具が出てくる*1のはやはり見ていて楽しいし、どこでもドアやスモールライトなど誰でも知っている道具を引き合いにしてひみつ道具の進化が語られたりしているのも面白かった。
まあ、このタイミングで「博物館」というのも、2011年の開館から2年を迎える「藤子・F・不二雄ミュージアム」のてこ入れにも関わっているのか、それとも本作の脚本が「藤子・F・不二雄ミュージアム」の開館に影響を受けたのか…まあいずれにせよ何らかの大人の事情もあったのかもしれない。


その中で、本作で「ひみつ道具博物館」が出てくるトリガーとなっているドラえもんの鈴について。
そもそもこの鈴自体が「ねこあつめすず」というひみつ道具なのだが、それについては本作ではほとんど触れられていなかった。その上で「鈴がなくなるとドラえもんがやがてネコになってしまう」という新たな設定が付け加えられており、さらにそれを昔ドラえもんがドブに落としてしまったのをのび太が泥だらけになって見つけてくれた、というエピソードが語られていた。
いわばこの鈴はドラえもんアイデンティティでもあり、のび太との関係性の象徴にすりかえられていたのだが…しかしそんな大事なものなのか? という疑問は個人的には消せない。ドラえもんというキャラクターを思い浮かべる時に必ずセットで出てくるあの首輪と鈴。あまりにも日常的すぎて重要に思えないということだろうか。
というか、未来に行った後でオロオロしてないで「とりよせバッグ」で怪盗DXから奪い返してしまえばいいのに…とか身も蓋もないことも考えてしまった。


その他にも、相変わらずドラマニア向けと思われる小ネタが挟まれるはいいのだが(スネ夫たちが話していた「昨日見た映画」のタイトルが「ボヘミアの青い踊る犬」とか「悪魔の足ツボマッサージ」とか「ルパン対ホームズ対オシシ仮面」とか…)、しかしコミックスの一部のネタ(とくにオシシ仮面)が繰り返し取り上げられるのはあまり感心しない。もっと違うネタもちょこちょこ挟んでほしい。


あと、私は全然知らなかったけど、本作は主題歌をPerfumeが歌っていて、しかも子どもらは既にそれを知ってて一緒に歌っていた。テレビのドラえもんで、ずっとプロモーションを兼ねて流していたらしい。

このPVすごいな。藤子プロ全面協力。でもどうせここまでやるなら、モンスターをやっつけるのにもドラえもんの秘密道具を使ったほうがよかったのに…画竜点睛を欠いた感じ。そこは許可が下りなかったのかな。

*1:今回出てきた道具:きせかえカメラ、シャーロックホームズセット、どこでもドア、くるくっく、ビッグライト、初期型どこでもドア、タイタニックロボ、きこりの泉、ころばしや、カムカムキャット、コピーロボット、イケメンコピーロボット、ゴン助、手ばり、落とし穴ペン?、食用宇宙服、タケコプター、花咲かはい、空気クレヨン、軽々手袋、ガリバートンネル、中身すいとーる、空気砲、鬼は外ビーンズ、くらくなる電球、手投げミサイル、ひらりマント、とうめいまんと、透視メガネ、名刀電光丸、ふえるミラー、虫のしらせアラーム、どくさいスイッチ、救いの手、ゴルゴンの首、おとしものカムバックスプレー、正直でんぱ、芝刈りうお、なんでも貯金箱製造機、たまごうませ灯、ハイパー掃除機、復元光線…映画を見ながら必死にカウントしていたのだが、エンディングで(ほぼ)全部紹介されていた…。