「死霊のえじき(Day of the Dead)」

死霊のえじき 完全版 [DVD]
死霊のえじき」を鑑賞。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド*1、「ゾンビ」*2に続き、これでジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作をすべて見たことになる。
本作品は「三部作」のなかでは一番後に作られたもの。前二作に比べ、人間ドラマは薄い感じ。それよりもむしろ、ゾンビの生態について解説されていた部分が、マニアにとっては興味深いところだろう。


なかば悪ノリとも思えるくらい、とにかくいろんなゾンビが出てくるのも楽しかった。知能を持った(残した?)ゾンビ「バブ」なんかは、後の「ランド・オブ・ザ・リビングデッド」につながっている。
ちなみにこの映画の公開は1986年、そしてあのMJの「スリラー」は1987年の発表。伝説のPVも、まさにこの映画から着想したのだろう。DVD特典でついていた米国版の予告編は、映画館で隣に座ってポップコーンを頬張っている客がゾンビだった…というオチで、MJの「スリラー」とほとんど同じオチだ。
(参考:「死霊のえじき」日本版予告編←これはこれでオモロい)


そしてやはり、「お定まり」では終わらせない人物描写は、さすがといったところ。ゾンビを研究する学者vs軍人という対立の構図。シビリアンコントロールがゾンビという圧倒的恐怖の前に崩壊していく様は、なかなかに見せる。


この映画のオープニングは、主人公のサラが壁掛けのカレンダーに絶望のなか×印をつけていると、壁からゾンビの手がにょきっと生えてくる…という有名な場面だが、一方でエンディングでは、サラは手作りのカレンダーに×印を書き込んでいる。
この2つの場面で象徴的に使われているカレンダーは、人類の絶望と希望をうまく描き分けているのだと思った。