その六「ミッキーガーゼ」

(つれあいから聞いた話)

つれあいが薬局で幼児用のお菓子を買っていると、若い女性が店に入ってきた。
しばらく陳列棚をさまよった後、目当ての商品が見つからなかったのか、お店の人を呼び止めてこんな風に言った。
「すみません、このお店に“ミッキーガーゼ”を置いてありますか?」
店員は、そんな商品を聞いたこともなかった。
「どんな商品か、もっと詳しく説明して欲しい」と店員は女性客に言ったが、女性自身もその“ミッキーガーゼ”なるものがどんなものなのか知らないという。
その女性の息子が「とびひ」にかかったので皮膚科に診てもらったところ、医者に「薬を出しておくから、これを塗って、“ミッキーガーゼ”を貼ってときどき新しいものと交換しなさい」と言われたそうだ。
そこでその“ミッキーガーゼ”を買いに来たところ、ミッキーマウスの絵の入ったガーゼかと思って陳列棚を探したが、そういうものはなかったと困っていたのだった。
「もしや…」
ピンときた店員が持ってきた商品には、こう書かれていた。


“滅菌ガーゼ”…。