ある視点(Un Certain Regard)

ここにもときどき書き込んでいただいている友人のまっちょさんの日記で、「梅佳代(うめ・かよ)」という写真家のことを知った。
この前の日曜日のTBS「情熱大陸」で紹介されていたのだそうだ。

梅 佳代(写真家) | 情熱大陸
http://www.mbs.jp/jounetsu/2007/01_14.shtml

この人の写真は、いわゆる「日常の中で見落としがちな、思わずクスリと笑ってしまうような瞬間」を捉えたもの。どんな感じかというと、こんな感じ
変なしゃべり方だな〜と思ったら、石川県生まれで学生時代を大阪で過ごしたのか。私と一緒で親近感を持った。


写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンさんなどは、「The Decisive Moment(決定的瞬間)」と呼ばれたような作品群を残すに当たり、おそらくその背後には膨大な量の失敗作があったと言われている。
しかしこの梅佳代という人は、こともなげに「写真は一眼レフの「P」*1モードでしか撮らない。「M」*2モードは使わない」、「フラッシュは原則使わない、使っても一眼レフ内臓のやつだけ」、「レンズも基本50mmしか使わない。ズームは使わない」などと言い放つ。そんで道端でバシッとスナップ的に対象を捉えるだけなのだそうだ。


これは写真家として、ある意味で過酷な立ち位置かもしれない。
なぜならこれは、誰にでも(素人にでも)真似ができる、複製可能な手法だから。そうすると作品の価値は、彼女の写真の特色でもある「対象の切り取り方」の独自性ということ、ただその一点にかかってくる。


しかし考えてみれば、機材やソフトが手に入りやすくなったり、ネットが普及したことによって、今の時代は写真、絵、音楽、活字…その他あらゆる分野において、とにかくプロとアマの境目が表面上あいまいになってきている。
そんなときに何が両者を分けるかというと、結局この「プロならではの視点・着想」ということになってくる…のかな??

*1:露出だのシャッタースピードだのを機械に全部おまかせするモード

*2:露出・シャッタースピードなどをマニュアル設定するモード