『PAPA & CAPA ヘミングウェイとキャパの17年間』

PAPA & CAPA ヘミングウェイとキャパの17年
私が「最近ヘミングウェイに関心を持っている」とtweetしたところ、友人から贈っていただいた本。
ヘミングウェイについても作品を2,3読んだだけの初心者だし、キャパについては小学生の頃に自伝『ちょっとピンぼけ』を読んだ程度の知識で(キャパというのが本名だと思っていたくらい)、ましてこの2人が生前深い親交があったとは知らなかった。
本書によるとキャパは、もともとは作家志向だったものの手っ取り早く世に出るために写真を選んだとか、戦争写真家として名声を得てからも、ヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」のハリウッド映画化に際して役者デビューを狙ったりなど、山師的な一面があったようだ。そして実際に、大女優イングリッド・バーグマンと恋仲になったり、半ば夢を実現しているのだから凄い。
ヘミングウェイは、同時代の作家スタインベックを相当に意識していた…というエピソードが載っていて、興味深かった。世界を渡り歩きそれを作品にとり入れたヘミングウェイに対し、主にアメリカ国内を舞台にした小説を書いたスタインベックは、後にそれぞれノーベル文学賞を受賞するアメリカを代表する作家であり、文体や作風が「似ている」といわれ何かと比較される関係にあった。
スタインベックは『怒りの葡萄』がブックオフの105円コーナーの常連なのでうちの本棚にも並んでいる程度で、まだ読んだことがない。いずれ読んでみなければ。


本書はキャパの写真がふんだんに使われており、正方形に近い変わった版といい、「ちょっとした写真集みたいだなあ」と思っていたら、あとがきを見て納得。もともと筆者は、キャパによるヘミングウェイポートレート写真集として構成しようとしていたという。
ヘミングウェイと三男グレゴリーくんとのツーショット、これは何度見ても最高の画だな*1

*1:アイダホのリゾート地サンバレーで、狩猟の途中、橋の上で猟銃を抱え寝そべってくつろぐヘミングウェイとグレゴリー君のツーショット。この写真からは想像もつかないが、グレゴリーは晩年突然性転換してグロリアと名乗り(!)、ある晩ストリーキングをして警察に捕まり、留置所で謎の死を遂げたという…。