『お言葉ですが…(2) 「週刊文春」の怪』

お言葉ですが…〈2〉「週刊文春」の怪 (文春文庫)
最近、高島俊男さんの本を買いあさっている。といっても、古本屋で見つけたものを片っ端から買っているのだが。
この本で興味を覚えたのは、「『血税』騒動」という段。
最近は「血税」というと、「納税者が汗水流して働いて、血の出る思いでお上に納める税金」くらいの意味で使われているが、元来の意味は「命を税とする」という意味で、徴兵のことを言っていたそうだ*1。元はフランスから来た言葉らしい。
この「血税」という言葉が日本で初めて用いられたのは、明治5年のことだったらしいが、この言葉がとんでもない誤解を生んだのだそうな。

西日本各地の農村で、「血税」とは血の税だ、政府は若い男を集めてその血をしぼって西洋人に売るのだ、というデマが飛び、恐怖にかられた農民たちが「血税一揆」と呼ばれる暴動をおこしたのである。

この後に続く高島氏の論によると、とにかく当時の農民は、何かにつけ政府の行うことに反対していたようで、他にも「小学校反対(子供を一箇所に集めて外国に売り飛ばすから)」とか、「解放令反対」とか、いろいろとアナクロで頑冥な一揆を起こしていたらしい。新政府への反動ということか。
文中、「一般農民は政府の告諭など目にする機会はないし、見てもわかるはずがない。それを焚きつけた輩もいたのではないか」という当時の言説も引用されている。


この話を読んでいて連想したのは、いまの中国や韓国における半日運動のことだった。

*1:はてなキーワードにもしっかり書いてありましたね