『バカのための読書術』

バカのための読書術 (ちくま新書)
横浜からの帰りの新幹線車中で通読。小谷野節全開の快作だった。
バカが読むべきは歴史である…という珍説(?)は、しかし一片の真理があると思う。氏いわく、歴史は蓄積が物をいう分野だから、少しづつでも積み重ねがきく。だから学の無い人でも、今から何かを学び始めたいという人にも、歴史がうってつけだというのだ。
なおかつその入り口は研究書や高尚な評論である必要すらなく、司馬遼太郎の小説でもいいし、もっと言えば学習マンガでもよいというのだ。というかそれ以前のレベルの人が多いから(「パックス・ロマーナ」を人の名前だと勘違いした歴史学科生や、「花魁」を知らない日本史学科生の話は笑えなかった)、もうなりふり構っていられないというわけだ。


それにしても、これまで趣味としての読書を嗜んできた私個人ではあるが、最近とみに感じるのが、自分に残された「読書時間」の少なさ。若い頃は無限に時間があるように感じていたから無益な本を死ぬほど読んでいたけれど、この頃はそれがややもったいなく感じてきた。
死ぬまでに、いま本棚にある本の全部を読めるかどうかも分からない。これからは選んで本を読まないと(エグザイル伝説とかを読んでいる場合ではないのだ)。