『すばらしき愚民社会』

すばらしき愚民社会
小谷野敦さんの本は、タイトルに惹かれて手にした「もてない男」以来ちょくちょく拝読しております。全体的には面白かったです。知的アジテーションを食らった感じで。
この本を読んでると、なんていうか小谷野さん自身の意見というのがちょっと分かりにくいんですよね。文章の癖なのかもしれませんが、段落のまとまりごとにズバリと結論を述べるような方ではないようです。あと一部主語と述語が離れすぎていて頭に入りにくい部分も。ズバズバといろんな人を斬り捨てていくところは痛快なのですが。考える読書ができなくなってしまった自分にも反省。
東西の評論を引用あるいは批判しつつ、結局回りまわって知識人を批判しているという、半分自己撞着的な展開。ほんとはそうではないのかもしれませんが、1回通読した限りではそんなふうに思えてしまいます。
あとちょっと鼻についたのがあとがきの文章。そんな意図はまるでないのは分かっているのですが、スノッブなかほりが…。