金沢:七月一日は氷室の日

金沢市では毎年7月1日が近付くいてくると、やたらと「氷室(ひむろ)」という単語を耳にするようになる。
氷室といってもヒムロックの氷室ではない(当たり前だけど)。その昔まだ冷蔵庫が無かった時代、冬に降った雪を夏まで貯蔵しておくために使われていた、気温の上がらない地下室のことを「氷室」というのだ。現在でも金沢の兼六園にその跡がある。


江戸時代、加賀藩では毎年旧暦の水無月の朔日に、氷室から氷を出して、4日間かけて江戸の加賀藩邸まで届けたそうだ。その折、氷が無事に届くように神社におまんじゅうを奉納して祈念する習わしがあり、いつしかそれが加賀の庶民にまで広まり、このときに食べるまんじゅうが「氷室饅頭」と呼ばれるようになった。
それが今でも続いていて、毎年7月1日*1に、市民のほとんどが氷室饅頭を買い、家で食べたり人に贈ったりする姿が見られるのだ。


お菓子屋さんだけでなく、デパートやスーパーの店頭にもこんな感じで平積みされる。

というわけで、たまたまこのタイミングで帰省していた私も、今年は久々に氷室饅頭を食べた。別にどうということのない酒まんじゅうなのだが、こういうのは季節の縁起物だから味は二の次。これを食べるともう夏が来た…と感じる。

*1:厳密には新暦7月1日=旧暦6月1日ではないけど、毎年くるくる変わると混乱するから固定したのでしょう。