「ユネスコ記念能」

国立能楽堂の「ユネスコ記念能」を見てきた。年に一度の観能会。今年は昨年までと趣向が変わり、「船弁慶」という一つの演目を、シテ五流派が仕舞と能で演じ、それぞれに型や舞が違うのを見比べた。
ああして異なる流派が一堂に会して同じ演目をやるのって、珍しいのではないだろうか。演者も何となく他流派を意識してか、熱がこもっているように見えた。
平知盛の幽霊が義経らに襲い掛かる仕舞(能から舞の部分だけを切り取ったもの)はそれだけでもアートだけれども、やはり能の一部としてこの場面を見ると、怨念とか忿怒とか哀愁とか、量感が全然違うのだった。