『動員の革命 ソーシャルメディアは何を変えたのか』

動員の革命 - ソーシャルメディアは何を変えたのか (中公新書ラクレ)
3月11日の東日本大震災、それに引き起こされた原発事故。海外に目を向けると一連の「アラブの春」。これらの背景で一躍注目を浴びるようになったのが「ソーシャルメディア」の持つ力だった。
震災前から「tsudaる」と表現されたツイッターでの実況や、震災後の有象無象の情報を24時間とにかくリツイートして情報のハブになろうとしたことで有名な、ITジャーナリストの津田大介氏は、ソーシャルメディアの力とは「動員の革命である」と喝破してみせる。

わたしたちを取り巻く情報環境は、ここ数年のソーシャルメディアの台頭によって大きく変わりました。その本質は「誰でも情報を発信できるようになった」という、陳腐なメディア論で言われがちなことではなく、「ソーシャルメディアがリアル(現実の空間・場所)を「拡張」したことで、かつてない勢いで人を『動員』できるようになった」というところにあるのです。


氏が理想とする将来像は、情報のハブになる人の周りに「なんか面白そう」と興味を持つ人々が集まり、クラウドファンディングや、日本古来のタニマチ文化のようなパトロネージュを介して世の中を変革していく…というものだと思う。
しかしここで提示されているソーシャルメディアの使われ方は、たとえばジャニーズ事務所のタレントや熱心な韓流ファン、あるいはいわゆる「AKB商法」とそれほど変わらない、商業主義の波に飲み込まれてしまう可能性もあると感じた。
いや、それぞれを応援するファンのあり方には全く異議はないんだけど。動員を「する」側に革命が起きたとるすなら、動員「される」側にも革命が必要なのではないだろうか。