『時代を生きる力』

時代を生きる力
ハイパーメディア・クリエイターこと高城剛氏の本。この人は毀誉褒貶の大きい人ではあるけれど、小中学生の頃から「STUDIO VOICE」誌あたりでコラムを読んでいたり、CX「バナナチップス・ラヴ」を見てたりしていた身としては、多少擁護してあげたくもなる人ではある。いろいろ言われてはいるけれど、ある種の先見性を備えた人物であることは間違いないと思う。
その意味でいまでも記憶に残っているのは、レコードからCDに時代が以降しつつあった頃(もう30年近く前のことだ)、高城氏は「サビが曲頭にくる歌が増えるに違いない、何故ならコンパクトディスクはボタン一つで次の曲に飛んで再生できるから」と断言していたこと。実際その通りの「ザッピング時代」が訪れたと思っている。
そんな氏が、2011年3月11日の大震災を受けて緊急出版したのがこの本。
言い訳と責任逃れ、空気を読む、年功序列…といった「日本式システム」こそ現代日本の問題点だと指摘、これらは世界標準や速度にあっていないと強調。「官僚一人一人はいい人間だがシステムが悪い」「マスコミ(とくにテレビ)が変われば日本式システムが変わるチャンス」「システムや情報を可視化することが必要」などなど、至極全うな意見を述べている。