伝説のギャンブラー

阿佐田哲也の小説に出てくるような「ヒリヒリした日常の中で寿命をすり減らしていく孤独な男」…というのが、なんとなく私の中にあるギャンブラー像なのだが、現実にはフィクションを超えるようなギャンブラーが存在していたらしい。
ちょっと前になるが、今年の1月29日付のThoroughbred Times誌の記事より。

香港の伝説の馬券師、死す。
High-end horseplayer Alan Woods, one of the first handicappers to use computer robotic-wagering to bet on horse races, died on Saturday in Hong Kong. He was 62.
- Thoroughbred Times

このアラン・ウッズなる御仁、生涯に馬券で稼いだ額がなんと6億ドルというのだから凄まじい。
記事によると、この人はコンピュータを駆使して独自の予想を組立てていたそうで、まあ言ってみれば株のトレーディング感覚で投資していたという感じだろうか。
買い方にしてもおそらく分散投資リスクヘッジをしていたのだろうが、それにしても賭ける額が半端ではなかったようで、最終的には香港競馬の全売上の1〜2%にも達する額を賭けていたそうだ。この死は香港競馬にとっては実に手痛い損失となるだろう。


貧乏長屋でチンチロリン…という情景にはある種のロマンやリリシズムが溢れているけれど、しかし結局のところギャンブルの世界でも経済の世界でも、最後に笑うのは「持てる者」なのだなあ。