『勝負勘』

勝負勘 (角川oneテーマ21)
昨年引退した元JRA騎手の岡部幸雄氏が、自らの騎手人生を振り返った本。人からもらったので読んでみた。
Oricon Styleで集計した『部下に読ませたい本』(なんだそりゃ)で、男性が選ぶベスト12にも入っていた模様。…しかしこの『部下に読ませたい本』を本気で部下に薦める上司がいたとしたら、まずその人自身のセンスを疑うべきではないか。


それはともかく。
寡黙な職人…というイメージの岡部さん*1が、重い口を開いて何を語ってくれたのか? 「勝負勘」なんてタイトルをつけているくらいだから、それ相応の達人の世界を垣間見せてくれるのか? …とちょっとだけ期待して読んでみたら…。
なんだか非常に浅い内容だった。
本書で述べられているような、たとえばシンボリルドルフとの出会いとか、若い頃の渡米の話なんかは、競馬に詳しい人だったらほとんど誰でも知っている話ばかり。そこに、いかにもとってつけたような「人生観」とか「組織論」なんかが書き足されているのだが、これはまず間違いなく編集者が足したものだろう。
かといってビジネス書として読めるかというと、その「人生観」や「組織論」自体がほんとに浅いものなので、全然物足りない。
結局どっちつかずの本になってしまっているのが残念。もっと著者自身のコアな話か、ビジネス論か。どちらかを掘り下げた内容だったら面白かったと思う。「角川oneテーマ21」という新書のラインナップを見る限り、きっとどの本もこんな感じになっているのだろう。

*1:引退してからメディアに出ているのを見ると、必ずしもそうではないようだが