NHKスペシャル「"世界最強"伝説 ラスベガス世紀の一戦」

ボクシングで前人未到の6階級制覇を成し遂げたフィリピン・ミンダナオ島出身のマニー・パッキャオ。ボクシングに疎い私はこれまで名前も聞いたことがなかったが、彼を特集した今夜のNHKスペシャルを思わず食い入るように見入ってしまった。
もともとパッキャオは、アメリカの伝説的プロモーター、ボブ・アラムに見出され、現在ではあらゆるスポーツ選手の中で2番目に年収の高い選手となっている。タイガー・ウッズコービー・ブライアントよりも稼ぐボクサーなのだ(ちなみに1位もボクサーだった)。
パッキャオのボクシング歴は、極貧から身を起こすためのストリートの賭けボクシングから始まった。幼なじみで現在もトレーナーをやっている人物が、自嘲気味に「まるで闘鶏と同じだ」と語っていたのが印象的。そんな環境で生まれ育ったパッキャオだけに、現在も様々な形で巨額のファイトマネーの一部を地元に還元している。
だが年齢的にも肉体的にも衰えがささやかれはじめた昨年12月、宿命のライバルであるマルケスとの試合がボブ・アラムによって組まれる。試合はボクシング史に残る死闘となり、衝撃の結末を迎えた…。

「俺が国を背負っていると思っていたけど、俺が支えられてたんだ」
「俺たちは確かに闘鶏の鶏と同じだ。でも鶏と違うのは、俺たちは負けても何度でも立ち上がることだ(we will rise again)」

パッキャオの英雄的な姿と、結局のところそれを全て操って巨額の富を懐にしているボブ・アラムの対比。「ヒスパニックはドル箱なんだ」とか「次は中国に眼をつけている、なにしろ13億人もいるんだからな」…などなど、とにかく割り切った歯に衣着せぬ発言がいちいち興味深かった。これはそのまま、先進国アメリカと新興国との関係性に通じるものがあるのではないだろうか…?


こちらに予告動画*1があるので、ぜひさわりだけでも見てもらいたい。 →NHKオンライン

*1:実は本編も某YouTube動画サイトに全部上がっているようなので、予告を見て興味を覚えた方は、それとなく探してみてください…。