堕ちた王者

死亡率の高い癌からの復活、そして前人未到のツール・ド・フランス7連覇の偉業…を成し遂げた自転車のチャンピオン、ランス・アームストロング。しかしその選手生活の後半は、常にドーピング疑惑との戦いの渦中だった。
そしてそのアームストロングが、ついに公の場でドーピングを自ら認める発言をした。

「もうパパを擁護しなくていい」 元自転車王者の告白
禁止薬物の使用認める
「タイヤに空気、瓶に水を入れるように(禁止薬物を摂取した)。それが仕事の一部だったんだ」――。世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスで7連覇するなど活躍したランス・アームストロング(41)が、悪質なドーピング違反で永久追放されて以来初めてインタビューに応じ、禁止薬物使用を告白した。特に新しい事実はなかったが、淡々と告白する姿は全米に衝撃を与えた。
(中略)
アームストロングも人間だ。一度だけ、言葉につまり涙を見せた。友達の前で父親をかばい続ける13歳の息子に、「もうパパを擁護しなくていいんだ」と伝えたという場面だ。
「レースでズルをし、嘘をつき、仲間をいじめた。僕がしたことは、子供にしてはいけないと教えること。究極の罪、僕を支えて信じてくれた人を裏切った」
過ちを積み重ね、次第に我を忘れて、間違った方向に暴走していった今回の事態。「ここから得た教訓はまだ分からないんだ」とアームストロングは語った。
誰もが彼のようになってしまうかもしれない。スポーツの枠を超え、人間の心の闇を伝える“落ちた元王者”の告白だった。
「もうパパを擁護しなくていい」 元自転車王者の告白 :日本経済新聞

半生を振り返った自伝、『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』を読んで*1以来、個人的に応援していただけにショック。癌からの生還という栄光は消えないが。真実以上の英雄を求める我々にも責任はあるのかも。それにしても13歳の息子さんの心中は…。