『美少年』

美少年 (新潮文庫)
団鬼六先生追悼の意を込めて読んだ。この文庫本、ずっと家の本棚にあったのだが、表紙がエロチックで通勤途中の読書には向かず、なかなか読む機会がなかったのだが、このたび自炊してReaderに入ったためめでたく読了の運びに至った。
団先生の自伝的一人語りに、どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのか分からなくなっていく、不思議な味わいの短編集。そんな中で、「鹿の園」と題された一篇にあった次のような台詞が印象に残った。

人が完全に快楽のみに生きる時の生命論理とは即ち、道義の力、習俗の力を完全無視することではないのか。