地方の美術館の行方

世知辛いニュースを読んだ。

写真美術館めぐり「町の負担軽減を」 鳥取伯耆町議会
 植田正治写真美術館(伯耆町須村)の管理運営のあり方を審議している伯耆町議会の調査特別委員会(入江正美委員長)は、町の主体的な運営と町財政の負担軽減を求める意見をまとめ、14日開かれた同町定例議会で報告した。
 報告では、同館が建設された旧岸本町時代に交わした契約書や作品寄付の契約締結に伴う覚書を全面的に見直し、より広く町民に親しまれる美術館として運営ができ、町財政の過度な負担とならないようにすることと結論づけた。
 同館は当初見込みより、入館者数が落ち込み、運営経費の削減を目的に5年前から冬季3カ月間を休館している。管理運営する財団が新公益法人制度により、来年11月までに「一般」か「公益」に移行申請することになったため、これを機会に町議会でも11月に同委員会を設立し、運営方針について検討している。来春までに議会としての決議をする方針。
http://www.asahi.com/news/intro/OSK201212140130.html


植田氏は鳥取在住のままで独特の世界観を持った作品を発信し続けた写真家で、とくに鳥取砂丘を舞台にした一連の作品で有名*1土門拳らのドキュメンタリー調の作品が隆盛したのに対し、演出や構成に凝った作風は「植田調」と呼ばれ、数々のファッションブランドや広告で取り上げられた。古い話だが、福山雅治の「HELLO」のジャケットにも写真が使われていた。

HELLO

HELLO


上記の「植田正治写真美術館」へは、以前鳥取に住んでいた頃に行ったことがある。
遠く大山を見晴るかすロケーションにコンクリートのモダンな建築で、展示内容も充実しており素敵な美術館だったのだが、いかんせんアクセスがかなり悪い。なおかつ美術館のある伯耆町から、作品の舞台となった鳥取砂丘までもかなり遠い。

植田正治写真美術館

せっかく氏の足跡を辿りたいと思う愛好家がいたとしても、気軽に見に行くような感じではないのだ。その辺の足元の問題を解消できないと、入場者の増加は見込めないと思う。

*1:私もかつて真似をしてつれあいと長男と3人で砂丘で写真を撮ったことがあった。2007年4月15日の日記参照。