「This is Bossa」

THIS IS BOSSA
今月25日で衝撃の訃報から1年を迎えるマイケル・ジャクソン。1周忌に向けていろいろと追悼イベントやアルバム発売、特番なども目白押しのようだが、このアルバムなんかもその流れの一つと言えるだろうか。
ブラジルのアーティストによるMJ作品のボサノバカバー集で、もともとは2006,7年頃に出されていたものと、昨年の急死のタイミングで追悼緊急リリースされた第2弾から、いまや日本におけるMJ研究第一人者となった感のある西寺郷太氏(from NONA REEVES)がチョイスした珠玉の19曲を新たにコンパイル
“ボサノバカバー”なんていうと安直でお手軽な作品集に思えるけど、なかなか聞かせる仕上がりになっている。正直現代のアーティストによるボサノバなんてあまり聞いたことがなかったので、カバーしている人たちの素性については全く知らないが、既に何百回も聞いているMJの曲を白紙の状態で聞けるという意味では、かえって良かったかもしれない。女性アーティストや、男性でも声の高い人のカバーが多いのだが、低く太い声でのカバーも数曲聞けて、MJ本人との対比が面白い。
「Thriller」や「Bad」なんて、一見ボサノバアレンジで食い合わせの悪そうな曲も、マイケルのシャウトやタイトなビートに隠されていたサウダージがあらわになっている感じで、これはこれで良い。
「Beat It」はボサノバ特有のわざとメロディーから何拍か遅れて歌詞を乗せる唄い方がハマっているし、とくに「You Are Not Alone」とか「Will You Be There」あたりは、新たなボサノバスタンダードとして今後も歌い継いでいってもらいたいほど。