「少林寺」

「少林寺」 アルティメット・エディション [DVD]
ご存知、リー・リンチェイのデビュー作にして少林寺ブームの発端となった作品。
よく誤解されているのだが、現在よく町で見かける「少林寺拳法」というのは日本で始まった独自のもので、少林寺の拳法(少林拳)とは、実はあまり関係がない。ただ名前に冠するくらいだから、もちろん少林拳にインスパイアされたもので、少林寺拳法の幹部が度々少林寺を表敬訪問するなど交流はあるらしい。
本作の冒頭でも少林寺少林拳の歴史がザッと語られた後、「現在では日本にも広まっている」として、唐突に少林寺拳法のマスター山崎博通氏が少林寺を訪れる姿が挿入されたりしている。
本家少林寺には「羅漢練拳図」という壁画が残っており、描かれた羅漢たちの姿に拳法の真髄が伝えられているそうだが、本作はその壁画の一部から採録したストーリー、ということになっている。隋末の中国で、苛政に耐えかねた庶民の一人(リンチェイ)が少林寺に弟子入りし、義賊(後の李世民!)とともに悪代官をやっつける…という勧善懲悪もの。
基本的にキャストは武術コンテストの上位入賞者など「本物」を使っているため(リー・リンチェイからして中国の武術全国大会で空前絶後の5回連続優勝の経歴を持つつわもの)、この前見た「少林寺三十六房」などと比べ格闘場面のスピードが桁違いに速い。早送りしているかのようなバトルは、何度見ても息を呑む。
途中で挿入されるリー・リンチェイの模範演技のような演武の場面は、唐突感やスタジオセットのチープ感は差し置いても、見とれてしまう迫力だ。


一番印象に残った(笑った)セリフ。「全員成仏しろ!」