説話のような夢

新潟に引っ越してきた私は、さる人の紹介でお茶の教室に参加することになる。
お寺の本堂のような広々とした板張りの部屋で、十数名の生徒さんたちが、円座になってひたすら茶を点じている。そこを訪なった私に、一座の皆さんが「ぜひお点前を見せてください」と言うのだが、未熟者の私は「いえいえとても皆さんの前では」と遠慮する。
そこへ僧形の年配の男性が現れ、「まあそう言わずに一服点ててください」と柔和な顔で言う。この方がお茶の師匠らしい。私はしぶしぶお茶を点てはじめる。未熟者ではあるものの、どこか一同とは違う流派を見せびらかしたい気持ちもある。
私が点じたお茶を飲みながら、師匠はにっこりと笑って言う。
「○○のところの作法を省略したのは、あれは大悟(と言った!)の上での省略ですか、それとも傲慢ゆえの省略ですか?」
これを聞いた私は、さっきまでの得意げな気持ちがサーッと引き潮のように消え、真っ赤になって恥じ入る。
そして一言。
「私を弟子にしてください!」


…こんな夢をみた。