『銀河鉄道の夜』

銀河鉄道の夜
8月5日の日記で書いた、集英社文庫「ナツイチ」キャンペーンの蒼井優の限定カバーだが、結局3冊とも(すでに持っていたにもかかわらず)買ってしまった…。
ということで帰省の往復の電車で、『銀河鉄道の夜』を耽読。
この集英社文庫版に入っていた短編「やまなし」で、ようやく「クラムボン」というバンド名の由来がわかった。「やまなし」に出てくる正体不明の生物の名前だったのか。宮沢賢治研究家たちの間で様々に正体が推測されているようだが、私見ではこれは、「climb on」の読み違えではなかろうか…。川の底で水面を見上げるカニの子供たちの、「あの上に何があるのだろう」という意識の登攀=クライムオン。これは画期的な新説だ(と自分で言っておこう)。


表題作「銀河鉄道の夜」といえば、私が小学生のときに、母親に連れられてアニメ版の映画を見に行ったことを思い出す。アニメなのにとても悲しいお話だったので、見終わった後に切なくなった。

「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」カムパネルラは、なんだか、泣きだしたいのを、一生けん命こらえているようでした。
「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの。」ジョバンニはびっくりして叫びました。
「ぼくわからない。けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるしてくださると思う。」カムパネルラは、なにかほんとうに決心しているように見えました。

銀河鉄道の夜 [DVD]

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