芝浜


NHK総合で6時過ぎからやっていた「ホリデーにっぽん 三遊亭円楽 最後の高座」という番組を見た。2年前に脳梗塞で倒れ、今年2月に引退を発表した三遊亭円楽さん。その最後の高座の前後を追ったドキュメンタリー。


円楽氏が最後の高座で選んだ演目は、氏が最も得意とする「芝浜*1」だった…というのを聞いて、アレっと思った。
というのは、先日同じくNHKハイビジョンで放送された「立川談志 71歳の反逆児」というドキュメンタリー番組で、やはり立川談志さんもこの「芝浜」を得意としており、なおかつ最近になって自分の納得のいくように高座で披露できなくなった…と苦悩していた姿を思い出したからだ。


「東京落語四天王」と並び称された4人の落語家のうち、2人は既に鬼籍に入り、円楽さんは「もうだめですね…」と述懐して高座を下り、そして談志さんは苦闘を続けている。


今日の番組の最後で、「芝浜」の下げ(オチ)の一言が流れた。

「よそう。また夢になる。」

人生の幸せも、それが夢と消えてしまっては意味が無い。この一言は、確実に老いていく自分の体を正面から見据え引退を決意した、円楽師匠の心境そのものと重なるようで、感慨深かった。

*1:ネタの詳細はこちらを参照→芝浜 - Wikipedia