ディープインパクトから禁止薬物が検出される

ディープインパクト号に関するお知らせ
http://jra.jp/news/200610/101911.html


個人的に割とこの問題には興味があって、「なんでそんなことになったのかな?」と。
それで夜のニュース番組とか朝刊(20日の)とか、あとWEBの情報なんかをザーッと見たところで思ったこと。
すべて現時点での個人的な感想ですので、投与の経緯も含めた事実関係が明らかになるまでは、この件に関する私の最終的な態度は保留です。

  • 今回検出されたイプラトロピウムなる薬物は、日本では禁止薬物ではない
  • 日本で禁止薬物になっていない理由は、その薬品が馬用としては日本で流通していないため(欧州では流通)。またこれまで日本の薬物検査で検出されたこともなかった(?)。
  • イプラトロピウムは気管支を拡張する効果があるとされ、人間では喘息の治療などに使われる。ただし馬の呼吸器や呼吸の仕組みと人間のそれとは、一部違うところがあるため、ヒトに対する効果をそのままウマに期待することはできない。
  • 非常に単純に考えれば気管支が拡張すると呼吸がしやすくなって、まあ走るのにもプラスの影響があるのだろうが、どのくらいの効果があるのだろうか?
  • この薬品はフランスではレースでは禁止薬物ではあるが、投与自体は禁止されていない。治療には普通に使われている。レース出走時に体内に残っていないよう、直前には使用しないことが求められている。
  • フランスでこの薬物をディープインパクトに投与したのは、もともとはフランスの獣医師だとか。ちなみにフランス国内では、フランスの獣医師免許を持った人間でないと動物の治療ができない。
  • 投与したフランス人獣医師は「レース前には使うな」と陣営に伝えたというが、そのニュアンスがきちんと伝わっていたのか?
  • この薬物は馬の体内での残存期間が短いため、レースから3週間たった現在ではもう残存していないという。そのため、ディープインパクトの日本での出走には何ら問題が無い
  • よく誤解されているところだが、着順の変更と、調教師・騎手・馬への制裁処分とは全く別個のもの。着順の変更や失格があっても、それはあくまでレースの成績・記録の問題で、人馬への罰則はそれとは別に、事態の深刻さや引き起こした理由・経緯をみて判断される。極論すればレースは失格でもおとがめなし、ということも可能性として無くはない。…でもまあ今回は何らかの処分が下されるだろう。
  • 会見でJRAが「フランスの調査結果が出る前にコメントする立場にない」と繰り返したのは、言ってみれば正論だが、ファンの立場になってみれば、もう少し踏み込んだことを言ってもよかったのではないか。生身の人間の声を聞きたかった
  • 競走馬を直接管理するのは調教師で、その全責任を負う立場にある…というのも正論。ただ今回のケースでは、フランスへの遠征をJRA側が大なり小なりサポートする立場にあったのだろうから、そういう意味で責任が全く無かったとは言えないのではないか。
  • しかもその会見の後、夜のニュースを見ていると、テレビ各局の直撃取材に対しフランスの主催者の人がベラベラと調査内容をしゃべっていた(笑)。その意味で、JRAの苦慮・配慮は無駄だった。