官庁vs現場

帰宅してからなんとなく見ていたNHK教育テレビで、「福祉ネットワーク」という番組をやっていた*1。これまでそんな番組を見たこともなかったのだが、出演者の男性が何事かをジェスチャーを交えて熱く語っているのが気になって、見入ってしまった。


この番組では「シリーズ・介護の担い手たち」と題し、高齢化社会に必要な介護の人材確保について、4回にわけて特集を組んでいたようだ。
今日はその4回目で、介護・福祉分野での慢性的な人手不足について、利用者代表としてノンフィクション作家の沖藤典子さん、施設(担い手側)代表として介護福祉士の袖山卓也さん、政策担当者として厚生労働省社会・援護局長の中村秀一さんの3人をスタジオに呼んで、討論をやっていた。
私が目を引かれた「熱く語る男性」は、名古屋で介護の仕事をしている袖山さん*2だった。


袖山さんが現場での苦渋を訴え、「行政にもっと資金面・制度面での援助をして欲しい」と厚生労働省の中村さんに語りかけていたのだが、それに対する中村さんの返答が、「確かにこれまでは行政は施設に対し、新しいことは何もしないでくれ、助成金をばら撒くから使ってくれ、という態度でした。そういう姿勢がまだ行政にも残っているかもしれませんね。」といったのらりくらりの「ザ・お役所代表」という感じで、内容も口調も本当に秀逸だった。もちろんこれは皮肉である。


最近あいついで祖父母がデイケアの利用者になったり、介護施設のお世話になったりしているのだが、お見舞い行ったときに思うのは、本当に大変な仕事だなあ…ということ。
赤ちゃんの世話も大変だが、物心がついていないし体重も軽いので、まあだましだましやっていける。しかし老人の介護は、きれいごとでは済まない。しかも今日のテレビでも言っていたが、こうした現場で働く人たちの賃金水準は、おしなべて低いようだ。


話のネタへの興味はともかく、本当に「現場vs役所」という絵に描いたような討論(しかも1対1)だったので、わりと真剣に見入ってしまった。再放送もあるようなので、もしアレだったらまた見てみたいと思う。

*1:オフィシャルサイト→http://www.nhk.or.jp/fnet/

*2:ちょっとググってみたら、袖山さんは「笑う介護士」というニックネームだそうで、この人もこの人でちょっとアレな感じの方ですが… オフィシャルサイト→http://www.geocities.jp/waraukaigosi/top.htm 参考→http://plus1.ctv.co.jp/webdoc/2003/01161/01.html