Interviews
今週のNewsweek日本語版の、日本語版創刊20周年を記念した特別企画が面白い。日本国内外の著名人に行ったインタビューのうち、選りすぐりのものを再掲しているのだ。
昭和天皇への単独インタビューをはじめ、小泉純一郎、ニクソン、エリツィン、江沢民からウォーレン・クロマティ、マイケル・ジョーダン、マドンナ、ティモシー・マクベイ、タランティーノ、宮崎駿まで、硬軟織り交ぜたさまざまな人々のインタビューが掲載されていた。
その中で最も興味深かったのは、次の2人のインタビューだった。
「寅さんは雪駄を履いているでしょう。つま先の指でスッとこの雪駄を引っかけて、サッと街道を歩いて、ものごとを簡便にすませてしまうという、そこに寅の身上があると僕は思うんですよね。」
「外国の映画の人と共演しないかという話も来ますけど、日本っていうのは、外国のものっていうとそれでもってごまかせる部分があるでしょう。ですから、その手の話にはいっさい乗らないみたいなところが僕にはありますね。」
(渥美清氏、1988年1月21日号掲載)
(5年後、サイバースペースはどうなっていると思うか、という問いに対し)
「現在の世界とそれほど変わらないだろう。もちろん、便利で効率的にはなる。カルテがすぐに見られるようになるだろうし、インターネットで音楽もダウンロードできる。だが、それが世界を変えるのか。インターネットに寄せる期待は大きすぎる。」
(スティーブ・ジョブズ氏、2000年3月1日号掲載)
渥美さんのインタビュー記事は、氏の語り口がそっくりそのまま再現されていて、すがすがしい。また、舶来を尊ぶ風潮とは一線を画していた渥美氏の姿勢も、小気味よい。
ジョブズ氏のインタビューは、約5年前にきちんと現在のネット事情を言い当てている一方で、インターネット万能論に警鐘を鳴らしている。透徹したビジョン。