『隣人 内田春菊ホラー傑作選』

隣人―内田春菊ホラー傑作選 (角川ホラー文庫)
つーことで、以前ブクオフ100円コーナーで購入してそのままになっていた春菊さんの本を、本棚から引っ張り出して読んでみました。
これはサブタイトルのとおり、春菊さんが自分の作品からマンガ3篇、短編小説5編を選んで収めたホラー短編集です。初期の作品がメイン。


この中に収められている「若妻にやる気をなくさせる方法」と「働く妻にやる気をなくさせる方法」という2つの短編が、まさに『私たちは繁殖している』シリーズで語られていた「2人目の夫」のことを書いている作品で、タイムリーな偶然の一致に驚きました。
それで、「(2人目の夫に)こんなふうにされていたのか…」というのが窺い見えて、興味深かったです。
2つの短編いずれも、新婚の夫に知り合いの女性(元カノ?)が「妻のやる気をなくさせる方法」をアドバイスする…という仕立てとなっているのですが、

 あなたの家に嫁に来た女なんだから。過去も未来も消してしまうのよ。そしてその後、未来は、あなたにお伺いを立てた上で書き込んでいってやるという訳よ。
(「若妻にやる気をなくさせる方法」より)

こういう記述を読むにつけ、内田春菊さんという作家は、一貫しているんだなあ…と思います。