長谷川等伯という人物

先日、能登の父方の実家に帰ったところで、能登七尾出身で織豊政権時代に活動していた絵師・長谷川等伯について考えている。
いまの七尾といったら紛れもない田舎だけど、中世から近世にかけては海運の拠点だったため、それなりの都市だった。しかしそこはやはり北陸の地方都市のこと。等伯の心中には、京の趨勢に対する憧れと反骨精神が並存していたのだろう。そしてそれが長じて後の狩野派との反目というか、一種独特のオルタナティブな立ち位置につながっていったのではないかと、同じ北陸出身の私は勝手に想像する。
等伯は、桃山絵画の本流である障壁画にも斬新な可能性を提示していたのに、それは残念ながら後世に伝わらなかった。おそらく、今日において等伯の残した画のなかで一番有名なのは「松林図」だと思う。あの画自体、幽玄な雰囲気と大胆なモチーフには文句のつけようがないけど、どうやら下絵だったというし、あれが等伯の全てでは決してないのだろうから。

「ダーティハリー4」

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正月から(正月だから)映画ばかり見ているが、勢いでシリーズ4作目も見た。犯罪被害者の女性が加害者の男たちを殺して行く、これまでとは毛色が異なるストーリー。若い女性とのロマンスを演じるにはハリーはちょっと年をくっていると思うが、まあそれ以上に街なかを走り回って飛び回る年齢ではなくなった…ということだろうか。
殺人犯の女性とハリーが交わす問答が印象深い。

「今は誰もが手を汚さずに済ませたがる」
「目には目をって考え方は私だけかしら。異常者? 復讐?」
「人間の最も古典的な殺人の動機だ」

前作にも黒人街のまとめ役ムスタファとして出てきた俳優さんが、今作ではハリーの同僚ホレース役で出ていた。気になって調べたら、この人はイーストウッド作品に常連のアルバート・ポップウェルという俳優さんで、ダーティハリーも1から4までそれぞれ違う役で出ているそうだ。

「ダーティハリー3」

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今回、ハリーとバディを組むのは女性刑事。それも殺人課に配属されたての新人。ハリーは彼女をハナから相手にしないのだが、この2人の相棒関係の変化が今作の見所となる。
いろいろあって相棒の女性刑事は殺されてしまうのだが、ラストでハリーが怒りのバズーカ砲をぶっ放す。

上司「もういいキャラハン、お前は60日の停職だ」
ハリー「90日では?」
上司「180日だ、バッチをよこせ」
ハリー「これを使って痔の治療でもしたら?」
上司「どういうことだ」
ハリー「ケツの穴にでも突っ込むんですね!」

ハリーは全然「ダーティ」なんかじゃなくて、実は至ってまとも。むしろ警察組織とか周囲の人間の方がダーティなのだ。


このシリーズのカメラワークにはいつも何かしら工夫があって興味深い。車でパトロール中に、ハリーが「おいあの連中は何だ」とつぶやき、車内からの視線のカメラが沿道をちらっと写すと、店の前に人だかりができていて不穏な空気がスクリーン全体に漂う…主観ゲームの一場面みたいで(というか主観ゲームが映画を真似しているんだけど)、今見てもいろいろと気付かされる点がある。
あと、悪趣味なブラックジョークも相変わらず冴えていた。検死室で頭蓋骨を外した検死官が真剣な顔をして「おいおいこりゃなんてこった、こんなの初めて見た、こっちへ来て見てみろよ」…一呼吸置いて「『食べるべからず』だってさ」…Ha Ha Ha。

「仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード天下分け目の戦国MOVIE大合戦」

子どもらと一緒に「仮面ライダー×仮面ライダー鎧武&ウィザード天下分け目の戦国MOVIE大合戦」を見てきた。正直どちらもそんなに見てないのでキャラクターとかはよく分からないのだが、ウィザードのほうが変身シーンはかっこいいし(鎧武はなんといっても…ネタがフルーツなので)、円を描くようなアクションも決まっているし、魔法やマジックをモチーフにした技も派手だと思った。あと、キマイラ役の人が毎回おいしいところを持っていくのもあるし。
ここ数年の仮面ライダースーパー戦隊もののトレンドである、過去のライダー(戦隊)の力でパワーアップ…というのもやっていたが、「レジェンドライダーロックシード」で変身するときに、一瞬3頭身くらいのライダーになるのが笑えた。あと、そこでもフォーゼの「宇宙キターーーッ!」がネタとして使われていたけど、あの変身ってやはり異色なのだと再確認。
これまで一番よく見ていたシリーズである、仮面ライダーWの登場人物、仮面ライダーアクセルこと照井竜とアキコちゃんの夫婦漫才が一瞬見られて、個人的にうれしかった。2代以上前のライダーの登場人物がカメオ出演するのは珍しいのではないだろうか?


ちなみに予告編でやってたのだが、春休みのライダー映画は、平成ライダー15人vs昭和ライダー15人feat.スーパー戦隊というしろものらしい。もう何が何やら…。

「ダーティハリー」

ダーティハリー [DVD]
家にダーティハリーシリーズ全5作のうち4作の録画が溜まっていたので、順に見ていくことにした。まず第一作目。

スコーピオン」と名乗る連続予告殺人犯に怯えるサンフランシスコの町。強引な捜査方法から「ダーティハリー」とあだ名で呼ばれるハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)は、上司の思惑を無視してスコーピオンを追いつめていく…

ビルの屋上から隣の屋上のプールを狙うスナイパー。裸の女性がプールに飛び込むと、殺人犯は静かにそれを狙撃する…そんなオープニング。BGMのサントラが実にかっこいい。
物語の終盤、スクールバスをジャックするスコーピオンが、乗っている子どもたちに無理やり歌を歌わせる場面が狂気をはらんでいて秀逸だ。

「イーアイイーアイオー」
「こげこげこげよボート漕げよラーンラーンラーンラーン川下り」
「歌わないとお前たちのママを殺してしまうぞ!」

そしてついにスコーピオンを追いつめたハリー。決めゼリフがかっこよすぎる。

「何を考えてるか分かってる。俺が6発撃ったかまだ5発かと考えているんだろう。
 実を言うとこっちもつい夢中になってて数えるのを忘れちまったんだ。
 でもこいつぁマグナム44と言って世界一強力な拳銃なんだ。お前のどたまなんか一発で吹っ飛ぶぜ。
 楽にあの世に行けるんだ。運がよけりゃな。さあどうするおい!」