『K-POPがアジアを制覇する』

K-POPがアジアを制覇する
もともとは韓流ドラマのファンでも、まして韓流ポップのファンでもなかった筆者が、仕事の取材をきっかけにどっぷりとはまっていった経験を元に、いまK-POPで何が起こっているのかをレポートした本。

 女性というのはアイドル本人の気持ちを知りたい生き物であり、男性は、アイドルを見て楽しみ、そしてアイドルを通して自分なりの意見を語るのが好きなんだというこということを感じたのだった。たぶん、筆者がこの本でやっていることは、非常に男性的な試みだろう。

…と筆者自身が前書きで書いている。「筆者がこの本でやっていること」というのは、つまり現象を分析するという「非常に男性的な試み」を指しているのだろうが、実はその「分析」というか、現象の背景説明に終始しすぎていて、せっかくご自身もK-POPのへヴィーファンだというのにその辺の「説明を超えたサムシング」が伝わってこなくて、それだったら男性が書いてもよかったのに…と思えて少々物足りなかった。

 昭和40年代から50年代までは、キャンディーズのほかにも、セクシーで成熟した女性アイドルはたくさん存在していた。

ピンクレディー山口百恵、エトセトラ。
韓国は経済的にもアイドル的にも日本の数年〜数十年前の段階にあるとして、日本人はそこにある種のリバイバル感を抱いているのかもしれない。もちろんメインの消費層である若者たちにとっては、それは初体験なのだけれども、現在クリエイティブの現場に立っている世代にとって、そこに少なからぬノスタルジーが投影されているのではないだろうか。
K-POPグループ米国進出にあたりプロデュースを請け負ったのが、あの「New Jack Swing」のテディ・ライリー…というのも、リバイバルの二乗といった感がある。いや、全然嫌いじゃないけど。

マイケル・ジャクソンのアルバム「Dangerous」あたりをいま聴き返しているようなこの既視感。