『バスクとバスク人』

バスクとバスク人 (平凡社新書)
捕鯨に興味を持って調べていると、西洋の捕鯨の歴史とは切っても切れない存在として、「バスク人」の名前がどの本にも挙がっている。いわく、西洋で最も古くから捕鯨の技術を持っていたのはバスク人で、初期の捕鯨には必ず門外不出の技術を持った雇われバスク人が船に乗っていたとか。
イベリア半島の大西洋側の一地方、現在のフランスとスペインの国境地帯にまたがる一帯がバスク地方で、そこに住む人々をバスク人と呼んでいるわけだが、彼らの用いる「バスク語」はヨーロッパのどの言語とも隔絶した独自の言語であるため、インド=ヨーロッパ語族に属さない“謎の民族”と呼ばれている。その一方で、古くから捕鯨に携わっていたように海洋に出たり、ピレネー山脈を越えて西仏両国の宮廷に進出するなど、国際的に活躍する人物を輩出していた。
バスク人あるいはバスクにルーツを持つ歴史上の著名人として、イグナティウス・ロヨラフランシスコ・ザビエルシモン・ボリバルチェ・ゲバラ、エビータ(エバ・ペロン)、『ドン・キホーテ』の従者サンチョ…などがいると知って俄然興味がおこり、早速バスクに関する入門書として本書を読んでみた。
目次を見て「ああそうか」と思ったけど、グッゲンハイム美術館の分館(フランク・ゲーリー作)があるビルバオや、ピカソの絵で有名なゲルニカも、バスクの都市なのだった。