新潟:味よし

数週間前に一緒に仕事をした方から誘われて、その方の馴染みのお店で食事をともにすることになった。
新潟駅南口のけやき通りを右に歩いていって、突き当たりのT字路を左に折れるとすぐ看板が見えるよ」と教えてもらったそのお店は、「味(あじ)よし」という名前の居酒屋だった。言われたとおりに歩いていくとすぐにお店は見付けられたのだが、その外観にちょっと驚かされた。まるっきり一軒家の玄関がそのまま居酒屋の入り口という風情なのだ。
がらりと引き戸を開けて店内に入ると、民家の土間と居間のあたりを改装して、そのままカウンターと小上がりにした感じ。と言っても昨今流行の「隠れ家風」というようなシャレたものではなく、古くからある小料理屋のたたずまい。
座敷に腰を落ち着けて飲み物の注文を探してみてまたビックリ。久保田、〆張鶴、八海山、越乃寒梅…といった新潟の有名どころの地酒が、全て一杯300円台なのだ。なんという良心価格。刺身とてんぷらでゆっくり酒を飲み、最後に手作りのおにぎりを食べて満腹。
「このお店、いつからやってるんですか?」という不躾な問いに、おかみさんは「万博の頃からよ」という答え。「万博っていつの?」と再度問うと、「浜松。月の石が出てたやつよ。」とか言われてズッコケたが、40年前からこの場所で、良心的な価格で良心的なお料理とお酒を饗されているこのご夫婦、聞けばその昔は古町で働くお姐さんと板前さんだったのだとか…。