『投機学入門―市場経済の「偶然」と「必然」を計算する』

投機学入門―市場経済の「偶然」と「必然」を計算する
かれこれ4年ほど前に職場の先輩に薦められて購入したまま積んであった本を、この未曾有の経済危機のタイミングで読了。
筆者いわく「投機」とは「チャンスを捉えてそれに投ずる」ということで、将来のチャンスのために資金を投ずる「投資」とは一線を画す。そして資本主義経済はヨーロッパ中世における胎動期からアメリカ大陸の発見、ケインズによる理論化、そして現代のグローバリズム経済に至るまで、常に「投機家(スペキュレーター)」によって広まり進化してきたという。
「投機家」は本業の収入をベースに持ち、目先の利益に惑わされることなく冷静な頭と大いなる情熱をもって市場に立ち向かう。この「冷静な頭」というのがなかなかできないわけで、株をはじめとする金融商品というものは、儲けている時は欣喜雀躍し、損している時は焦燥の念に駆られるもの。さらにその「チャンス」というのがいつなのか、冷静に判断したつもりでもあっさり裏切られてしまう。
本書でいろいろ書かれていた投機の実例にしても、結局はリアルタイムで筆者の意見を聞いていたわけではないから、どうしても後付け感は否めない。
さて、日経平均がバブル以来最安値の値を付けたいまは、果たして「チャンス」なのか、それともまだ下り坂の途中なのか…。