ろくでなしの恋

夜、NHKBShiでやっていた「ビリー・ホリデイ“ろくでなし”の恋」という番組を見た。
彼女については、これまで「ダメな男とばかりくっついていた恋多き女」という印象だったが、番組ではその背景にあった不幸な生い立ちについてじっくりと語られていて、興味深かった。この人の歌声は、声質としてはファニーな部類に入るのかもしれないが、技巧ではない何とも言えないくたびれた味わいの裏にあったのは、そういうことだったか…。
これからビリー・ホリデイの歌を聴くときの心持ちがだいぶ変わると思う。
数々の不幸な男遍歴と麻薬でボロボロになった晩年のビリー・ホリデイが、おそらく最愛の相手だったサックス奏者のレスター・ヤングと、長い時を経て久々に行ったセッションの映像。何かをあきらめたようなビリーの顔が神々しくさえ感じられる。

2人はこのセッションの数年後に、ほとんど時を同じくしてこの世を去る。


ちなみにいまBShiでは「世界のディーバ 男と女の物語」と題して、マリア・カラス(昨晩)、ビリー・ホリデイ(今夜)、そしてジャニス・ジョプリン(明晩)と3夜連続でハイビジョン特集を放送している。この3人をくくる言葉として「ディーバ」が果たして適当かどうか分からないが、興味を覚えた方はご覧になってはいかがだろうか? まあ今回見逃してもNHKのこと、どうせ年内にあと1,2回は再放送するだろうが…。