『阪急電車』

阪急電車
阪急電車宝塚駅西宮北口を結ぶ片道わずか15分の「今津線」を舞台に、ある列車で偶然隣り合わせた人たちが繰り広げる、ちょっとしたドラマを集めた短編集。
先々週だったか、新聞でこの本の宣伝を読んで、ちょっと興味を覚えて図書館で借りてきた。というのも私は学生時代阪急沿線に住んでいて、この今津線阪神競馬場に通うためによく利用していたからだ。宝塚、宝塚南口、逆瀬川、小林(おばやし)、仁川(にがわ)、甲東園、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口…章立てとして使われている各駅の名前も懐かしく、私が列車から見ていた風景が、どのように作品に織り込まれているのだろう、と関心を持ったのだ。


結論から言うと、まあ別に今津線が舞台でなくてもいいような話で、しかも都合よくできた話の羅列だったなあ…というところ。そもそも最初に出てくる「図書館でお互い意識していた男女」のカップルのエピソードが、「そんな話あるわけねーだろ」的な都合のよい妄想話(と言ってしまおう)で、しょっぱなから鼻白まされた。
それ以外のエピソードの登場人物たちも、どこかで見たことがあるような、類型的なキャラクターばかり。これが、私が知っている路線を舞台にしたものでなければ、途中で投げ出していただろう。
あと読んでいてちょっと思ったのだが、前半部分のエピソードで時制が狂っているような…。入れ替わり立ち替わり登場人物たちが一本の列車に乗ってくる中で、同じ列車に乗っているはずのない人が乗っていることになっているのでは??


しかしながらこの本、割と売れているようなので、これに気をよくした筆者または出版社が、続々とこの路線の本を出す可能性はある。ミニ西村京太郎的な、ご当地鉄道小説。
私が書くなら『阪急電車2 箕面線』かな。駅が全部で4つしかないけど。
阪急箕面線 - Wikipedia