「眠狂四郎 殺法帖」

眠狂四郎殺法帖 [DVD]
録画しておいたのを見た。市川雷蔵主演の眠狂四郎シリーズの第1作。
実は私は中高生のときに柴田錬三郎氏の原作にハマっていたことがある。「卒爾」とか「往還」とか「佇立」とかいう単語は、みんな眠狂四郎の一連のシリーズで覚えた言葉だ*1。その後、日常生活で使ったことはないけれど。
映画のほうは、大阪で大学生をしていた頃に、昼下がりのテレビ大阪あたりで割と頻繁に放映されていたので、何度か見たことがある。しかしこの「殺法帖」は今回が初めてだった。
一言で、あまりよくない映画だった。原作の味のある部分をギュッと縮めた脚本なので(上映時間も正味で約90分)、次から次へと謎が暴かれていくところがご都合主義に思えてしょうがないのだ。


この「殺法帖」は加賀前田家の命運を握る秘密を巡り、加賀藩奥女中の千佐(中村玉緒)や、豪商・銭屋五兵衛、その部下の陳孫という少林寺拳法の使い手(城健三朗(のちの若山富三郎))らがこぞって狂四郎を引き入れようとする話なのだが、映画の後半で私の故郷の金沢が舞台になってくる。
とはいえ金沢でのロケは一切無い。みんな京都あたりのロケで済ませたものと思われる。それで残念だなあと思っていたら、かわりに狂四郎と陳孫が最後の対決を行った場所(加賀の海辺の村という設定だった)は、今私が住んでいる鳥取の大砂丘がロケ地に使われていて、なんだか不思議な縁を個人的に感じた。

*1:実際にはこれらの単語は柴田錬三郎氏の作品に多用される言葉で、別に眠狂四郎シリーズだけに特有というわけではありませんが。