手が綺麗なうちは…

夜、NHKの「にんげんドキュメント」でノッポさんこと高見映さんを特集していた。
高見さんはフレッド・アステアの映画を見て、その華麗なタップダンスに魅せられ、芸人を目指したのだとか。ちなみにお父さんもチャップリンの真似をする芸人さんだったそうだ。
そして31歳のときからNHK教育の「できるかな」に出演、工作をしている時に手が映されるので、「手が綺麗なうちは続けよう」と思っていたそうだ。しかし実際には、NHKの番組改編の都合により番組は1990年に打ち切りに。そしてあの伝説の最終回、それまで一言も口をきいたことのなかったノッポさんが初めて喋った、あの回を迎えた。

高見さんは現在72歳。「グラスホッパー物語」という歌で71歳にして歌手デビューし、いまや「バッタのおじさん」として、全国の幼稚園を回ったりしているそうだ。番組では好評だった「グラスホッパー物語」の続編を生み出す過程を追っていた。
この続編で高見さんは、子供たちに挨拶の大切さを伝えたいと言っていた。挨拶をしたら、それはこだまになって必ず自分に返ってくると。
20年以上の長きに渡りずーっと黙したままで、しかし最後の最後に子供たちに「あーあ、喋っちゃった」と半分照れながらも挨拶を残したノッポさん。それだけにこのメッセージには重みが感じられた。