『二つ枕』

二つ枕 (ちくま文庫)
杉浦日向子さんが雑誌ガロで発表した表題作を中心に、吉原遊郭が舞台の作品を集めた短編集。
杉浦さんの作品は、どちらかというと少女マンガタッチのものしか読んだことがなかったのですが、ここに集められた作品のほとんどは、国貞あたりの浮世絵タッチを模したマンガ。
最初は違和感があったけど、これが下のような遊郭言葉の応酬とあいまって、見事に「江戸」の空気を醸成しています!

女郎:「ぬしたちゃア、よくわっちらをば嘘つきの権化の様におっせえすけど、客ほど嘘はつかねえもんでおすよ。ホンニマア世の中に遊客程情のねえ者はおざんせん。」
遊客:「コレハ心外なお言葉。わっちの様な誠実(じつ)のある客をばつかまえて。」
女郎:「よしよしよく云いんした! ドレ、ほんとかうそかは床の内で詮議しィしよう。」
遊客:「ヲイ。望むところサ。」

…どこかにこういう粋で情のある会話ができるキャバクラかなんか、ありませんかね?