ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース 2005」

会社をひけてから、下北沢へ直行。駅前劇場にてヨーロッパ企画のお芝居を見る。ヨーロッパ企画は2月にやはり下北沢で観たのだが*1、アレがすごく面白かったので、今回も期待を募らせて。
この演目は、かつてヨーロッパ企画の面々がまだ同志社の学生だったころに初演したものを、それから3,4年(?)たったいま再演しているもので、9月3日から全国公開される映画「サマータイムマシン・ブルース*2の原作にもなっている。
劇団員はみんなまだ若いのに、才能が感じられる脚本と演技だ。


お話自体は、大学の「SF研究会」の部室に、ある日突然「タイムマシン」が現れて、それがきっかけで始まるドタバタコメディ。伏線の張り方が巧妙で、登場人物の行動や発言のすべてが、最終的には一つの大団円に結びついていく。
でも逆に言うと、それゆえに「なんでこんなことしてるんだろ?」と思った部分が、すぐに伏線だとわかる。
一見複雑に思える、「タイムマシンもの」特有のタイムパラドックスを駆使した構成も、ほとんどが「ドラえもん」のなかで語りつくされていることだ。
そもそも劇中で使われる「タイムマシン」自体、ドラえもんのそれと同じ造りだし、「SFって“すこし不思議”の略だと思ってた」などいうセリフもあった。「ドラえもん」のことを「D」と呼び、「DがDY*3を食べて…」というのには笑った。
この作品自体、ある意味で藤子・F・不二雄氏へのオマージュとも取れる。


ひとつ難をつけるとすれば、終盤であまり詳細にパラドックスの説明をしないほうがよかったと思う。リモコンについてはきれいに説明されたが、実は「タイムマシンは誰が作ったと言えるのか」は、説明されていない。
写真部の女の子「伊藤」が言っていたように、「タイムマシンで過去を変えたとしても、それすら大きな流れのなかで仕組まれたこと」という、ある種の運命論的な考え方をフィーチャーしたほうが、逆に昨今の「途中で枝分かれする説」主流の風潮に一石を投じる感じで、面白かったと思った。考えすぎか。


しかし前回観たときも思ったが、これでチケット代2,300円は安すぎる! ヨーロッパ企画、これからも注目していきましょう!

*1:2月21日の日記参照

*2:「踊る…」シリーズの本広克行監督。舞台上で「過去の自分」と「現在の自分」が交錯するヒヤヒヤ感を、CGや合成を使いまくりの映画の枠組みのなかでどう活かすか、見ものですね。

*3:どら焼きの略